体の「巡り」とは?巡りをよくするための方法も紹介

公開日:2025/11/25 最終更新日:2025/11/27
体の「巡り」

みなさんは、体の巡りについてご存じでしょうか。巡りとは漢方医学における考え方で、体の状態を把握し、最適なケアを施すために大切とされています。本記事では、巡りの「気・血・水」の考え方についてや、体の巡りをよくするためのポイントまでまとめて紹介します。体の調子を整えたい人は、ぜひ参考にしてください。

「気・血・水」の3つの巡りがポイント

漢方医学において、人の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という三つの要素で構成されていると考えられています。これら三要素が過不足なく体内を巡ることが、健康な状態の基本であるとされています。

まず「気」は体内のエネルギーや活力を指し、血や水の流れを促す役割を担っています。「気」の巡りが悪くなると、漢方では「気滞(きたい)」と呼ばれ、疲労感ややる気の低下、不安感や不眠など、心身両面への影響が現れることがあります。

そのため、気は自律神経の働きにも深く関わる重要な要素です。

「血」は血液そのものであり、酸素や栄養素、免疫物質を全身に運び、老廃物を回収する役割を持っています。血の巡りが悪くなる状態は「瘀血(おけつ)」と呼ばれます。

栄養が十分に行き渡らなかったり老廃物が滞ることで、肌荒れや乾燥、冷え、肩こりなどの症状が現れやすくなりやすいです。また、月経に関わる不調も起こりやすくなります。血は臓器の働きを助けるだけでなく、心の安定にも関与しています。

「水」は血液以外の体内の水分を指し、主にリンパ液を含みます。水は細胞に栄養や水分を届け、老廃物の排出や免疫機能のサポートにも関わっています。

水が不足すると、肌や髪の乾燥、手足のほてりなどが起こりやすいです。また、水の巡りが滞る「水滞」や「水毒」の状態では、むくみや冷え、多汗、下痢などの症状が現れることがあります。

体の巡りが悪いときに出るサイン

漢方医学では、体内の「気・血・水」の巡りのバランスが崩れると、私たちの体はさまざまな不調や違和感としてそのサインを示すとされています。まず「気」の巡りが悪くなると、強いストレスや疲労が原因で、喉に詰まりを感じたり、呼吸がしづらくなったり、痰が絡むといった症状が現れることが多いです。

漢方ではこれを「梅核気(ばいかくき)」と呼び、うつやパニック発作の前兆とも考えられています。次に「血」の巡りが滞る場合は、肩こりや首こりなど慢性的なコリが現れることが多く、温めることで症状が緩和するのが特徴です。

また、血流が悪化すると毛細血管に負担がかかり、目の下のクマや皮下出血、痣ができやすくなることもあります。これは全身に血液がうまく循環していないサインと考えられます。

さらに「水」のめぐりが悪い場合は、舌に歯型がついたり、厚ぼったくむくんだ状態が見られることが多いです。水の滞りは足や顔だけでなく、全身に生じることがあり、めまいや耳の不調、花粉症や慢性アレルギー性鼻炎、さらにはアトピー性皮膚炎の症状にも関与するとされています。

体の巡りをよくする習慣

漢方医学において、健康で美しい体を保つためには「気・血・水」のバランスを整えることが重要とされています。これらの巡りをよくするために、日常生活で心がけたいポイントとして、主に四つの方法が挙げられます。

運動

まず一つ目は「運動」です。適度な運動は気・血・水すべてに働きかけ、血流を促し、余分な水分の排出を助け、気の巡りも改善するとされています。

特に下半身の筋肉を効率よく動かすスクワットは、自宅でも簡単に取り入れられる方法で、1日30回を目安に行うことで血流や気の巡りが整いやすくなります。入浴前の習慣として行うと続けやすく、入浴後に軽くストレッチを加えるとさらに効果的です。

入浴

二つ目は「入浴」です。からだを芯から温めることで血流が改善し、肩こりの緩和やリラックス効果、良質な睡眠、肌の代謝アップやむくみ解消にもつながります。

目安としては、40度で15分、41〜42度で5〜10分ほど浸かり、汗がにじむ状態が理想です。

腹巻をする

三つ目は「腹巻をすること」です。お腹を温めると全身の血流が促進され、臓器の働きも活発になります。腸や大腸には免疫細胞の多くが集まるため、お腹の冷えを防ぐことは免疫力の維持にも有効です。

生理痛の軽減や便秘、膀胱炎の予防にも役立つため、夏冬問わずお腹を温める習慣が推奨されます。

食事

四つ目は「からだを温める食事」です。温かい食べ物や、ニンニク、ネギ、生姜、胡椒などの薬味を取り入れることで、血流や消化吸収の促進が期待できます。

一方、体を冷やす作用のある夏野菜や南国原産の果物は、摂りすぎに注意が必要です。さらに、気・血・水の補充や巡りを意識した食生活も健康維持に有効です。

気を巡らせるには香りの良い食材や青い色の食べ物、血流をよくするには青魚やニラ、血を補うには黒豆や貝類、水の巡りをよくするには根菜類や海藻、潤いを与えるには乳製品やフルーツが役立ちます。

まとめ

漢方医学では、体の健康は「気・血・水」の三つの巡りのバランスに支えられています。「気」は体のエネルギーや活力、「血」は栄養や酸素の運搬、「水」は体内の水分やリンパ液を指し、それぞれが過不足なく巡ることが理想です。巡りが滞ると、喉の違和感や肩こり、むくみ、肌や髪の乾燥など、心身にさまざまな不調が現れます。日常生活では、運動や入浴で体を温め、腹巻でお腹を守り、温かい食事や薬味、体を温める食材を取り入れることで、気・血・水の巡りを整えやすくなります。これらを意識することで、自然に健康と美しさを保ち、日々の不調にも優しくアプローチが可能です。

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