夜中に目が覚める中途覚醒の原因や朝までぐっすり眠るための対策

公開日:2025/11/25 最終更新日:2025/11/27
中途覚醒

夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」は、多くの現代人の悩みの種です。目が覚めてしまう原因は眠りの浅さにあり、中途覚醒が続くと健康にも多くの悪影響を及ぼします。本記事ではそんな中途覚醒について深掘りするとともに、原因や改善方法を詳しく解説します。ぜひご一読ください。

中途覚醒とは

中途覚醒とは、睡眠の途中で目が覚めてしまい、その後なかなか再び眠れない状態が続く睡眠障害の一つです。一般的に、寝つきは問題なくできるものの、夜間に何度も目が覚めるため、睡眠の深さやリズムが乱れてしまうことが特徴です。

このような状態は特に高齢者に多く見られる傾向がありますが、若年層でもストレスや生活習慣の乱れが原因となり、発症することがあります。睡眠は、深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠り(レム睡眠)が一定のサイクルで繰り返されることにより、体や脳の疲労回復が行われます。

しかし、中途覚醒が起こるとこのサイクルが妨げられ、質の高い睡眠を確保することが難しくなるのです。その結果、朝起きたときに「十分に寝たはずなのに疲れが取れていない」と感じたり、体の重さやだるさを覚えたりすることがあります。

また、睡眠の質が低下することにより、日中の集中力の低下や注意力散漫、気分の落ち込み、意欲の低下、イライラなどの精神的な影響が現れることも少なくありません。

中途覚醒の原因

中途覚醒が起こる理由は多岐にわたり、精神的要因、身体的要因、生活習慣や環境要因などが複合的に関係しています。

ストレス

まず、精神的な要因として代表的なのはストレスや不安です。日常生活や仕事、人間関係などで強いプレッシャーを受けている場合、脳は夜間でも「警戒モード」を維持しやすくなります

その結果、深い眠りに入りにくくなり、わずかな刺激でも目が覚めやすくなります。ストレスが長期化すると、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが過剰に分泌され、睡眠の深さが阻害されるのです。

このため、中途覚醒が慢性化しやすく、日中の体調不良や集中力の低下を招くこともあります。ストレスによる中途覚醒を改善するには、就寝前の深呼吸やストレッチ、マインドフルネス、アロマなどのリラックス習慣を取り入れることが推奨されます。

また、ストレスの原因を明確にし、適切な対処法を講じることも効果的です。

アルコール摂取

アルコール摂取も中途覚醒の大きな原因です。アルコールには入眠を促す効果がありますが、睡眠サイクルに悪影響を及ぼすことが知られています。

アルコールは分解される過程で交感神経を刺激する物質を生成し、体が覚醒状態になりやすくなります。その結果、深い眠り(レム睡眠)の時間が短縮され、夜間に目が覚めやすくなるのです。

さらに、アルコールは体温調節を妨げるため、体温が上がったり下がったりする際に覚醒を引き起こすこともあります。アルコールが原因で中途覚醒を経験する場合、就寝の数時間前には摂取を控えることが望ましく、適量の管理も重要です。

精神疾患

精神的な要因に加え、うつ病などの精神疾患も中途覚醒を引き起こす要因となります。うつ病の症状には、夜間に目が覚めやすくなる「早朝覚醒」が含まれることが多く、再び眠りにつくのが困難な場合があります。

精神疾患による中途覚醒は、睡眠の質だけでなく日中の気分や活動にも大きな影響を与えるため、自己判断せず専門医による診察や治療を受けましょう。心理療法や薬物療法などを適切に受けることで、症状の改善と中途覚醒の軽減が期待できます。

身体的要因

身体的要因も中途覚醒の原因として重要です。夜間頻尿は、高齢者に多く見られる症状で、睡眠中に何度もトイレに起きることによって睡眠が中断されます。

加えて、睡眠時無呼吸症候群も中途覚醒の深刻な要因です。この症状は、睡眠中に呼吸が一時的に停止することで脳が酸素不足を感知し、覚醒を引き起こします。

睡眠時無呼吸症候群は肥満、中高年、飲酒習慣のある人に多く見られ、放置すると日中の疲労感や集中力低下のみならず、高血圧や心疾患のリスクも高まります。治療法としては、CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)、口腔内装置、重症例では外科手術などがあり、専門医の診断と指導が必要です。

また、むずむず脚症候群も中途覚醒に関与します。この症状は、就寝時や夜間に足にむずむず感や不快感が生じ、脚を動かしたくなる症状で、眠りを妨げます。原因は鉄分不足や神経伝達物質の異常、遺伝的要因などが関係すると考えられており、適切な治療や生活習慣の改善が症状緩和につながります。

加齢

加齢も中途覚醒に影響を与えます。年齢を重ねると体内時計のリズムが乱れやすくなり、深い睡眠の時間が減少するため、夜中の覚醒が増えます。

また、加齢に伴いメラトニンの分泌量が減少することも、睡眠の質の低下と中途覚醒を招く要因です。さらに、加齢による身体的な不調や慢性疾患の増加も中途覚醒に影響することがあります。

これらの症状を軽減するためには、規則正しい生活リズムの維持、寝室環境の整備、就寝前のリラックス習慣が有効です。

妊娠

妊娠中の女性も、中途覚醒を経験しやすいことが知られています。妊娠によるホルモンバランスの変化や胎児の動き、お腹の大きさなどが原因で、睡眠が浅くなり夜中に目が覚めることがあります。

また、膀胱への圧迫による頻尿も中途覚醒を引き起こす要因です。妊娠中は十分な睡眠を確保することが重要であるため、適度な運動や就寝姿勢の工夫、寝室環境の整備が推奨されます。

生活習慣・環境要因

生活習慣や環境要因も、中途覚醒に大きな影響を与えます。就寝前のスマートフォンやパソコン使用によるブルーライト、重い食事やカフェイン摂取、アルコールの摂取は、脳や体を覚醒させ、睡眠の質を低下させます。

寝室の環境も重要です。温度が高すぎる、低すぎる、湿度が不適切、騒音や光が多い場合には中途覚醒が起こりやすくなります。これらを改善することで、睡眠環境が整い、夜間の覚醒回数を減らすことが期待できます。

中途覚醒の改善方法

ここからは、中途覚醒の予防・改善に役立つ具体的な対策について、幅広く整理して解説します。

睡眠のリズムを一定に保つ

まず、睡眠のリズムを一定に保つことは、中途覚醒を防ぐ上で基本となる対策です。毎日同じ時間に就寝し、同じ時間に起床することによって体内時計が整いやすいです。

週末だけ遅くまで寝る「寝だめ」は体内時計の乱れを招き、眠りの質を低下させる原因となるため、平日・休日にかかわらず起床時間を揃えることが推奨されます。

また、朝起きた直後にカーテンを開け、太陽の光を浴びることで、体内時計の調整がさらに促進され、自然な眠気を夜に感じやすくなります。

寝る前のリラクゼーション

寝る前のリラクゼーションも中途覚醒対策として有効です。呼吸法や瞑想を取り入れることで心身を落ち着け、ストレスや不安を軽減できます。

代表的な方法として「4-7-8呼吸法」があります。これは、4秒かけて鼻から息を吸い、7秒間息を止め、8秒かけて口からゆっくり吐くという呼吸法で、これを数回繰り返すだけでも心拍数が下がり、リラックスした状態になります。

瞑想では、呼吸に意識を集中させ、頭の中の考えを手放すことがポイントです。寝る前に照明を落とし、静かな音楽を流すとより深いリラックス状態を作ることができ、夜間に目が覚める頻度を減らす効果が期待されます。

寝室の環境を整える

寝室の環境を整えることも、中途覚醒の予防には欠かせません。

快適な睡眠環境の基本は、静かで暗く、適温を保つことです。理想的な室温は18〜22℃程度、湿度は50〜60%前後とされます。

寝具選びも重要です。体に合ったマットレスや枕を使うことで、寝返りや寝姿勢が改善され、睡眠の中断を防ぐことができます。

例えば、硬すぎる枕は首や肩に負担をかけ、夜中に目が覚める原因となる場合があります。さらに、光が入る場合は遮光カーテンを使用し、騒音が気になる場合は耳栓を活用すると良いでしょう。

就寝前の飲食にも要注意

就寝前の飲食にも注意が必要です。

夜間に胃腸が活発に働くと、消化の刺激により眠りが浅くなり、中途覚醒の原因となります。就寝2〜3時間前には食事を終えることが望ましく、特に脂っこいものや消化に時間のかかる食事は避けることが推奨されます。

また、カフェインを含む飲み物や食品も覚醒作用があるため、夕方以降は控えた方が良いでしょう。カフェインフリーのハーブティーやルイボスティーなどを取り入れることで、眠りの妨げを減らすことができます。

水分摂取も就寝1時間前からは控えめにし、夜中のトイレ覚醒を防ぐことが望ましいです。どうしても空腹を感じる場合は、温かいスープなど軽く消化に優しいものを少量摂るのが良いとされています。

就寝前の電子機器の使用を避ける

現代では、スマートフォンやパソコンの使用が習慣化している人も多く、就寝前の電子機器使用は中途覚醒を招く大きな要因の一つです。これらの機器から発せられるブルーライトは脳を覚醒させ、眠りを促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑制します。

その結果、寝つきが悪くなるだけでなく、夜中に目が覚めやすくなります。対策として、寝る1時間前からは電子機器の使用を控え、紙の本を読んだり日記をつけるなど、静かで落ち着いた行動を取り入れましょう。

どうしてもスマホを使う場合は、ブルーライトカット機能を設定し、画面の明るさを最小限にするなど工夫すると良いでしょう。

日中の生活習慣への配慮

日中の生活習慣も睡眠の質に影響します。適度な運動を取り入れることで、夜間に自然な眠気が訪れやすくなります。ウォーキングやヨガ、軽い筋力トレーニングなど、無理のない範囲での運動が効果的でしょう。

ただし、寝る直前の激しい運動は交感神経を刺激し、逆に寝つきを悪くすることがあるため、夕方までに運動を終えるのが理想です。また、入浴も中途覚醒対策として有効です。

就寝1〜2時間前にぬるめの湯(38〜40℃程度)に15〜20分浸かることで体温が一時的に上昇し、入浴後に体温が下がるタイミングで自然な眠気が訪れます。ラベンダーやカモミールなどのアロマを加えることで、リラックス効果をさらに高めることも可能です。

就寝前のアルコール・喫煙は控える

アルコールや喫煙も睡眠の質を低下させる要因です。アルコールは一時的に寝つきを良くする効果がありますが、深い眠りを妨げ、夜間の中途覚醒を増やすことがあります。

喫煙に含まれるニコチンも覚醒作用があり、寝つきを悪くするため、日常的に控えることが望ましいです。どうしてもお酒を飲む場合は、就寝3時間前までに摂取し、量を控えめにすることが推奨されます。

眠気を感じてから布団に入る

眠くなる前に布団に入ることも逆効果になり得ます。「早く寝よう」と考えて布団に入ると、脳が覚醒状態になり、かえって眠れなくなることがあります。

理想的には眠気を感じてから布団に入り、もし20分以上眠れなければ一度起きて静かに過ごし、再び眠気が訪れるのを待ちましょう。

まとめ

夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」は、睡眠の浅さや生活習慣の乱れ、ストレスや体調の影響など、さまざまな要因が絡む現代人の悩みです。原因には精神的ストレスやうつ病、アルコールや喫煙、加齢や妊娠、睡眠時無呼吸症候群や夜間頻尿など身体的な要因も含まれます。しかし、生活習慣や環境の工夫で改善できる可能性があります。規則正しい睡眠リズムを保つこと、寝る前のリラックス法の実践、寝室環境の整備、就寝前の飲食や電子機器の使用を控えること、日中の適度な運動や入浴、アルコール・喫煙の制限などが効果的です。また、眠気を感じてから布団に入ることで脳の覚醒を防ぎ、深い眠りを促します。これらを習慣化することで、夜中の覚醒を減らし、朝までぐっすり眠れる質の高い睡眠が期待できます。

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